※⚠️記事の内容は投稿時点のものです。
開発中につき、担保率・手数料を含む全ての仕様はメインネットローンチまで変更になる可能性があります。正式な仕様は公式ドキュメントで公開される予定です。
FAQの3.他プロトコル比較と4.ケーススタディについて回答します。
他プロトコル比較
Q15 既存で似たようなDappはありますか?
A イメージとしては、MakerとLiquity(とCurveによるガバナンストークンモデル)を足した感じです。
最終的にはオラクルを排除してあらゆるトークンを担保化できるようにDEXを統合する形になるので、より独自性が高まります。
特徴は、清算なし、金利なし、債務免除可能、プロトコルによる1円保証です。
Q16 MakerやLiquity,Riflexer(Rai)やAMPL等の分散型トークンレンダーとどのように違いがあるのか?
A 分散型ステーブルトークンというコンセプトであることは同じです。
違いはその実現方法です。YamatoProtocolの特徴は、清算が不要なこと、CJPYがプロトコル上で1円を保証されること、債権放棄(債務免除)が可能(≒ユーザーの借り逃げが許される)なこと、利息が継続して発生しないことが上げられます。
これらを全て実現したプロトコルはなく、強い優位性と考えられます。
Q17 Liquity(LUSD)よりも優れている点は何ですか?
A 違いは強制的な清算が無いこと。他の動作はよく似ていると考えられます。
LUSDのステーク(清算保証)のような要素が無いので、スケール的に優位であると考えられます。
Q18 Maker(DAI)よりも優れている点は何ですか?
A 清算が無いこと、基礎担保率が相対的に低いこと、継続した利息が発生しないこと、そういった点で優位であると考えれらますが、CJPY自体の市場が未開拓であるためその効果を実感するには少し時間を要するかもしれません。
Q19 Reflexer(RAI)よりも優れている点は何ですか?
A プロトコルにより1円が保証されていること、清算が無いこと、継続した利息が無いことがあげられます。
Q20 Fei Protocol(FEI)よりも優れている点は何ですか?
A 担保はユーザーの管理下にありますので、Fei Protocolのように売却扱いにはなりません。
また、CJPYはプロトコルによって1円を保証されていますので、交換時にペナルティ(差損)が発生しません。
(Fei Protocolはレンダーではなく、P2CトレードProtocolです。)
Q21 エラスティック系ステーブルトークンよりも優れている点は何ですか?
A CJPYは暗号資産担保型であるためボラティリティが限定されると考えられます。
また担保資産との交換が保証されています。
Q22 USDトラステッドペッグトークンよりも優れている点は何ですか?
A カウンターパーティリスクがありません。
プロトコル(コントラクトセット)は全てEthereum上にあり、ダウンタイムが無く永続性があります。
Q23 MakerDAOは成功しているように見えますが、ガバナンスフローはこれを再現するだけで良いのではないですか?例えば軌道にのるまでFoundationのような形態をとることも含めて。
A 着眼点として、「ガバナンスフロー」とその「対象となる変数」があります。
「対象となる変数」によって必要なフローが異なる面もあるので、ガバナンスによって手を加えることのできる変数の性質はそのフロー設定に大きく影響します。
その上で、MakerとYamatoを比較すると、そのガバナンス対象は大きく異なります。
Makerは、金利、担保銘柄、債務上限、担保率、DSR金利等、ほぼすべての変数が可変であり、それをトークンガバナンスで制御します。
一方Yamatoは、これらは全てハードコーディングされるか金利(代わりにハードコーディングされた手数料設定)や債務上限は存在しません。
Yamatoがガバナンスで扱う変数は、「プロトコルの拡張機能」です。
(具体的には、CUSD用Pledgeの付加等で、core機能に統合した状態でのプロトコルの複製とフォークです。)(≒外部拡張と言えるでしょう。)(そういった意味合いでは、Makerが行うような担保種の追加も手数料の変更も”外付け”の別拡張プロトコルとしてcoreに付加することは可能です。動作としてはコードを追加する必要がある、という違いです。)
Makerの場合は「内部の動作仕様」です。
そういったガバナンスでの対象項目に大きく違いがありますので、そのフローも同じでは最適ではない可能性があります。
Yamatoはトークンガバナンスによって機能の複製と拡張の余地を残しつつも、その動作の全てをコードによって不変にしています。云わば自然の法則です。
その法則によって生まれる状態を、ユーザーはインセンティブとゲーム理論によって参加し自律性を保ち続ける、という考え方です。
Makerと比べるとガバナンスの必要性はとても低くなっています。極論すると必要ない状態とも言えます。
ですのでYMTは、Yamatoのユーティリティトークンとしてプロトコルを拡張する役割(償還担保分配によるインセンティブ構造)として、付加的にその自律性を高める役割を担います。
ガバナンスの必要性とその役割が大きく異なるということです。
ケーススタディ
Q24 ユーザーが「償還」を実行するインセンティブはどこにありますか?
A これがYamato Protocolの肝でもあります。
CJPYは必ずしも市場で1円に固定されているわけではなく、それは自由市場での相場になります。
仮にブラックスワン的な相場崩壊が発生し、システム全体での担保率が100%を切るようなことが起こるとしましょう、その場合CJPYの市場価格はシステム担保率を鑑みて1円を下回ると考えるのが自然でしょう。
ユーザーはその一円以下の市場価格のCJPYを購入し、システム内で基準値以下のPledgeからCJPY一円保証で担保を買い取ることができます。つまり、アービトラージが可能ということです。
これによってシステムは早期に担保率を回復するかもしれませんし、市場のCJPYは1円に向かって値を調整することが可能になるでしょう。
Q25 ブラックスワン的相場崩壊が起こった場合にどういったことが予想されるか?
A Q24での回答が一つ。
更には、このような事態でも、担保割れPledgeの資産は強制的に清算されることはなく、低担保率のものから順次償還される形で、次第にシステムは健全性を取り戻していきます。
Pledge管理ユーザーも、CJPYトレーダー若しくはCJPYホルダーもそれぞれのインセンティブでゲーム理論(合理的な振る舞いによる利益獲得)を働かせてシステムは健全な状態へと回復へ向かいます。
Q26 CJPY価格が下乖離、上乖離した場合に1円に戻すためのインセンティブ構造はどのように働きますか?
A まず、上乖離は発行インセンティブが強くなります。発行は必ずCJPYは1円です。市場でそれ以上の価格で流通するのであれば、1円で発行し市場に流すインセンティブによって相場は修正されます。
次に下乖離ですが、これは償還インセンティブを生みます。市場で一円以下で購入したCJPYを使ってプロトコル内では1円保証レートで担保を償還可能です。よって、市場で購入し償還することでアービトラージが可能で、相場は修正されると考えられます。
Q27 CJPYの担保割れを起こすほどの大暴落が起きて清算が間に合わなかった場合、担保割れの状態から立て直す工夫はありますか?
A 清算がありませんのでブラックスワン的イベントによって、システム全体の担保率が100%を下回ることも想定しておかねばなりません。
この場合は例えば相場の大崩落でシステム全体の担保率が80%になったとしましょう、その場合、市場ではJPYは0.8円以下で取引されることになるでしょう。そうすると、Q26で回答した下乖離インセンティブが作動します。
ユーザーによる償還促進と同時に、プロトコルによる償還によっても、システムは市場からCJPYを回収し担保を引き出すという動作が促進されます。
Q28 清算ペナルティのようなものは何かありますか?担保保全インセンティブが必要だと思いますので。
A 担保率が低下し基準値を下回ったPledgeは、その担保を引き出すことができずに市場価格での償還に強制的に応じる必要があります。これはPledge管理者が意図した価格で担保を手放すことができないということです。(ほとんどの場合、担保設置時よりも低い価格で償還に応じることになるでしょう。)
また、担保率を高く保つことは発行手数料が安くなるメリットがありますので、ディスインセンティブ(ペナルティ回避)よりもインセンティブ(ポジティブアクション)によってプロトコル全体は健全性を保つよう自律されます。
Q29 Feeを2%とってその半分で清算をやるとして、110%供託なPledgeたちが軒並み担保資産価値99%を割り込んだら(つまり瞬間的な11%下落で)破綻ってことなのかな?
A 確かにこの場合1%以上の担保割れ(担保率99%)で債務超過(CJPY過剰発行)になります。 債務超過は想定されるシナリオであって異常ではありません。
自律回復を促すゲーム理論を動かし続けることができれば復旧できます。
この場合、誰の介入もないとすると債務超過で破綻して機能停止になるでしょう。
しかし、担保率が100%を下回った段階で市場のCJPYは少なくともその分安くなるはずです。となると、CJPYを買って1円保証で担保を買い取ることができます。(この場合下落基調なのでもっと安く買える想定。)
まずは、市場のCJPYが1円に復旧する力学は働きます。その下落過程で、市場参加者はロング目的(押し目買いロング)でCJPYを発行する者も現れるはずです。
健全なfeeの蓄積とプロトコルによる償還を続けることができる原資が手に入ります。(そうすることで、CJPYが安ければ買って償還(この場合は不良債権回収)、CJPYが高ければ通常の発行インセンティブです。 市場が上下し続ける限り、もしくは下落し続ける場合でも市場に参加者がいる限り、プロトコルは止まらずにゲームが続きます。 )
発行時点の手数料体系で、高担保率優遇なども含めて、供給と手数料徴収のバランスなど、ゲームが止まらないように尚且つ倒れないプロトコルとして動き続けるように設計(主に変数。)できます。
徴収するfee以外でも、市場のCJPYでユーザーが償還(≒この場合清算を意図)をいつでも可能なことが特徴です。
となると、市場にCJPYがある限り破綻しないということになるし、徴収fee(プロトコルによる償還原資)が仮に尽きていても、市場参加者で自律回復していける見込みです。
この場合、LUSDやDAIと同様に、担保大幅下落時はCJPYは買い需要が高まって逆に高くなる可能性も考えられます。 担保割れしているのにCJPYは高くなるという、理論上では考えられないことが普通に起こり得ます。 そうなると、発行インセンティブでプロトコルは回り続ける原資を得ます。
必ず破綻して終了するパターンは、担保が割れながら誰も発行せずに、市場のCJPYが買われきって、償還する担保が尽きて、無担保のCJPYだけが市場に取り残された時です。 そうした不全の状態でも、誰かが発行(心停止からの蘇生)したら、CJPYが安いので償還が動き始めます。
ただし、担保率は基準値を上回ってくるはずなので、償還はできないけど健全な担保率になって生き返ります。
急落で担保率が50%になってもCJPYが市場価格0.5円になれば、ゲームは成立するはずです。
しかし実際にはCJPYは逆の動きになって、発行インセンティブが強くなると思います。 発行インセンティブが強くなれば、担保率が自律的に100%を上回ってくる力学になります。